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ICRP International

Conference on Recovery After Nuclear Accidents

Radiological Protection Lessons
from Fukushima and Beyond

December 1 - 18, 2020

Y. Endo, Y. Uezu, T. Takase, K. Yamaguchi, H. Tsukada

Updated: Dec 10, 2020

Studies on the Effective Dose for Public Calculated by Air Dose Rate

Y. Endo, Y. Uezu, T. Takase, K. Yamaguchi, H. Tsukada (Japan Atomic Energy Agency, JAEA)


After the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Station (1F) accident, the Ministry of the Environment decided that the additional annual dose in a high exposure situation (less than 20 mSv y-1) reduced to less than 1 mSv y-1. The additional annual dose is calculated from ambient dose equivalent, however the relationship among air kerma, ambient dose equivalent and effective dose seems to be identically by many organizations. In addition, conversion coefficients from air kerma and ambient dose equivalent to effective dose have been considered to change with elapsed time because the half-lives of 137Cs and 134Cs are different. Undecontaminated agricultural field located approximately 5 km southwest from 1F was selected to determine air kerma, ambient dose equivalent and effective dose (personal dose equivalent). Furthermore, ambient dose equivalent in the environment was simulated by a Monte Carlo radiation transport code PHITS with soil data. The relationship among them was as follows: ambient dose equivalent > air kerma > effective dose. Ambient dose equivalent and air kerma showed conservative values than effective dose.

 

空間線量率を用いた実効線量推定手法の高精度化

遠藤 佑哉, 植頭 康裕, 高瀬 つぎ子, 山口 克彦, 塚田 祥文 (日本原子力研究開発機構, JAEA)


緒言

2011年の東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所事故を受け、環境省は、追加被ばく線量が20 mSv/年未満である地域については、長期的な目標として、追加被ばく線量が1mSv/年以下になることを目指すとの基本方針を示した。しかし、現在はこの年間追加被ばく線量の計算において、周辺線量当量率(H*(10))と実効線量が同一なものとして扱われていることが多い。また、環境中に放出された137Cs及び134Csは、物理学的半減期が異なることから、空気カーマ率及び周辺線量当量率から実効線量への換算係数が時間経過とともに変化することが予想される。本報では、野外における実測及びシミュレーションにより調査した、時間経過を踏まえた実効線量換算係数の変化について報告する。


実験方法

比較的一様に放射性セシウムが沈着したと考えられる帰還困難区域内にある未除染の農地を選定し、2020年3月(事故後約9年)に測定を行った。測定は、天候の変動に伴う影響を減らすため、測定前日及び測定期間中に降雨のない日を選んだ。空気カーマ率及び周辺線量当量率の測定に当たっては、測定機器固有の換算係数に依らずにそれぞれ独立した値として得る必要があるため、予め原子力科学研究所の放射線標準施設(FRS)において137Cs線源により空気カーマ率又は周辺線量当量率の指示値を確認したNaI(Tl)サーベイメータ2台(TCS-1172, TCS-172B)を用いて、高さ1mで5分おきに1時間測定を行った。個人線量当量は、個人線量計(PDM-122-SZ)を高さ1mに設置したアクリルブロック(W30cm×D15cm×H30cm)に片面2個ずつ固定し、4日間測定した。さらに、コアサンプラーを用いて、農地内5地点で25cm深さの土壌コア試料を採取した。土壌コア試料は、7層(0-2cm、2-4cm、4-6cm、6-9cm、9-12cm、12-15cm、15-25cm)に分割し、105℃で1週間以上乾燥させた後に、137Cs及び134Csの放射能濃度を測定した。

シミュレーションでは、モンテカルロ放射線輸送計算コードPHITSを用いて、実測地の土壌物性値(仮比重、元素組成等)を入力することで、屋外環境(半径600m、高さ300m、土壌深さ1m)を再現した。土壌含水率は、被ばく線量への寄与が最大となるよう0%に設定した。放射線源は、137Csと放射平衡にある137mBa並びに134Csから放出される放出割合1%以上のγ線とし、表層及び土壌コア試料の分割幅に合わせた7層に一様分布させ、各条件において高さ1mにおけるγ線のフルエンスを統計誤差が1%以下になるまで計算した。得られたデータから、ICRP Publ.74の線量換算係数を用いて、各層に分布した137Cs及び134Cs由来の空気カーマ率(Gy/h/Bq)及び周辺線量当量率(Sv(H*(10))/h/Bq)を、ICRP Publ.116の線量換算係数を用いて、成人の実効線量(Sv/h/Bq)を算出し、土壌コア試料の放射能濃度を乗じることで、シミュレーション値を算出した。なお、実効線量の計算には、土壌に沈着した放射性核種からの被ばく状況に近い回転照射条件(ROT)の線量換算係数を用いた。


結果・考察

土壌中に沈着した放射性セシウムによる空気カーマ、周辺線量当量、実効線量の関係を調査した結果、実測、シミュレーションともに「周辺線量当量率>空気カーマ率>実効線量」の関係が得られ、周辺線量当量率及び空気カーマ率は実効線量を保守的に評価することがわかった。

また、放射性セシウムの深度分布については、事故直後は137Cs 及び134Cs の放射能比1:1 で表層分布、2020 年3 月では実測により得られた137Cs 放射能濃度の深度分布(放射能比1:0.06)、その後は137Cs 放射能濃度の深度分布は変化せず、物理的減衰により放射能比が変化していくと仮定し、時間経過が換算係数に及ぼす影響を事故後30 年(放射能比1:8×10-5)まで調査した。その結果、空気カーマ率から実効線量への換算係数は、事故直後と事故後30 年時点の差が0.01(Sv/Gy)未満であり、時間経過の影響は極めて小さかった。一方、周辺線量当量率から実効線量への換算係数は、事故後30 年時点の方が約0.02(Sv/Sv(H*(10)))小さくなることを示した。放射性セシウムの分布する深さと換算係数の関係に着目すると、空気カーマから実効線量への換算係数は、土壌のγ線の遮蔽による影響は極めて小さいが、周辺線量当量率から実効線量への換算係数は、放射性セシウムが深い層に分布するほど換算係数が小さくなる傾向を示し、表層分布と15-25cm 深さに一様分布している場合の換算係数の差は、事故直後、事故後30年時点ともに約0.04(Sv/Sv(H*(10)))であった。また、事故直後と事故後30 年時点における137Cs 及び134Cs の放射能比に対する換算係数を層毎に確認した結果、その差はどの層も0.01(Sv/Sv(H*(10)))未満であり、放射能比の違いによる影響は極めて小さかった。今後は、放射性セシウムの土壌沈着に伴うγ線の人体への入射状況の変化を踏まえた換算係数の評価が課題である。

 


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